「私が遠くを見ることができたとしたら、それは巨人の肩に乗ったからです」。アイザック・ニュートンは、他の事でもそうだったように、科学研究の連続的な性質を、このように簡素でながらも洗練された言葉にまとめました。 ニュートンは彼の先人の科学者の発見に敬意を表し、実験基盤の発見の漸増的で相互に関係する道のりについて表現しました。
この相互関係性の発見を容易にしたのは、1450年のグーテンベルグの印刷機の発明により活性化された科学情報の流通でした。 一つの発見で生まれた勢いが次の発見を促すと言うサイクルが、ニュートン以後の時代にも重要であり続け、それが20世紀の科学業績の爆発的な繁栄を助けた価値あるサイクルへと進化しました。
現代の情報時代のイノベーション
情報の分散の増加が科学の前進に予期せぬ挑戦となりました。情報の過多です。 イギリスのPhilosophical TransactionsとフランスのJournal des sçavansを含む最初の学術雑誌が1665年に発行され、科学者は最新の情報を知る事ができるようになり、その分野における最新の発見をより良く理解できる手助けとなりました。 しかし、科学者が革新を続け新しい発見を生み出すにつれ、常に情報を手に入れておくことの困難さは指数関数的に高まって行きました。 この2年間だけで、人類は今まで作成された全データの90%を生成しています。
科学にとって重要で新規性のある貢献をし続け、科学的発見を加速するには、科学者が過去に積み上げられてきた業績を理解し、それに感謝する事が重要です。 例えば、イブ・チョバン、ロバート・H・グラブス、リチャード・R・シュロックの３人の研究者が「有機合成におけるメタセシス法の開発」で2005年にノーベル化学賞を受賞しました。彼らの発見について、ノーベル賞委員会は以下のようにコメントしています。
チョバンの理論は、化学者が変換スキームを効果的に実行できる触媒を見つけて設計すると言う場の舞台作りをしました。 何種類もの異なる候補金属を調査した後、リチャード・シュロックは遷移金属元素であるモリブデンとタングステンを含む触媒がその作用をする事を発見し、最初の突破口を開きました。 しかし、それらの触媒に上手く反応しない傾向がある事は、反応が全て予測通りに行く訳ではない事を意味しました。 ロバート・グラブスは、また別の遷移金属であるルテニウムを中心にしたより効果的な触媒を開発してその一段階先へと進みました。ルテニウムは他の分子との反応がより少なく、安定性が高かったのです。
この話は、彼らの研究の連続的な性質を明らかにし、それがノーベル賞に値する業績として実ったことを物語ります。 一つ一つの新しい発見が次の発見の刺激となり、科学文献の複雑な参照の系譜を通じてそれら全てが結びつくのです。 現在までにグラブスは1200本近い驚くべき数の雑誌論文を発表しましたが、これらの論文がその後の出版物の中で実に4万9000件以上も参照されているのです。 事実、1999年にグラブスが発表した１本の雑誌論文は、その後にその分野の別の研究者達によって2800件近くも参照されました。
人間によるキュレーションが未来の変換技術の鍵に
毎日250京バイトのデータが生み出されている現在の社会では、特定の関連情報の発見性は重要度を増しています。 現在、SciFindernなどのソリューションがあれば、科学者は必要な情報を必要な時に見つけることができますが、近い将来は人工知能(AI)技術が、増え続けるデータの流入を管理するためのより複雑な戦略の一部になることでしょう。
これらの新しいAI技術が開発されても、人間の手でキュレートされた質の高い科学データの重要性を見過ごすべきではありません。そうした情報は、生物化学、コンピュータ、そしてその間にあるあらゆる分野においてAIの導入を成功させるための礎だからです。 知的に強化されたデータに始まり、AIは多様な範囲の情報を提供し、過去には文献の山の下に埋もれていた情報を見つけ、理解する手助けをしています。 「データの湖」を管理しやすい関連或いは補完的情報の「貯水池」に変える事で、人間がキュレートした質の高いデータの上に構築されたAIは、先行する知識やイノベーションの上に構築する機会を最大化し、彼らの発見が次世代のイノベーター達にもアクセスできることを保証します。
CASは、発見のプロセスを加速する為には、科学者にとって既存の研究へのアクセスを持つことがいかに重要であるかを知っています。 この理解の下に、弊社は110年上の間科学コミュニティーにサービスを提供してきました。 複雑で成長し続ける現在のデータ環境は、確かに独自の課題をもたらします。しかし弊社の科学者達は文献を読み、その中にある貴重な詳細を抽出し、整理し、結びつけることをし続けていきます。そうすることで、利用者の方々は巨人の肩に立ち、より遠くまで見渡せるようになるのです。
次の発見は、誰の肩の上に立ったものになるのでしょうか。 CASがどのようにお手伝いできるかについては、こちらをご覧ください。
