CASの歴史

CASは、1907年に初出版された米国化学会の雑誌であるCA(Chemical AbstractsTM)の刊行に端を発しています。 CAの目的は、世界の化学関連文献を検証、要約、索引付けし、それによって科学者たちが世界中の研究者が出版した文献から恩恵を受けられるようにすることでした。


年月を経て、CASは化学情報の世界的権威へと発展しました。CAS RegistrySMやCAS Referenceなどのデータベースを通して、最新の化学や関連科学情報への瞬時アクセスを世界の科学コミュニティに向けて提供しています。

古いCASのロゴ      Chemical Abstractsの印刷本     CDロゴ上のCA

出来事
1907 William A. Noyesは、1907年に刊行されたCA(Chemical Abstracts)の初代編集者でした。 出版最初の年には、CAに記載されていた抄録数は12,000以下でした。 CAは米国国立標準局において初めて出版されました。 その後、事務所はUrbana市のイリノイ大学へと移りました。
1909 CAの編集作業はオハイオ州コロンバスにあるオハイオ州立大学のキャンパスへと移りました。
1956 CAはCAS(Chemical Abstracts Service:ケミカル・アブストラクツ・サービス)となり、米国化学会の事業部門になりました。
1965 CAS Chemical Registryシステムの導入と共に、科学的研究における新時代が幕を開けました。 化学命名法の曖昧さを排除し、それぞれの化学物質を識別する一意のCAS Registry Number®を使用することで、このシステムは、化学研究、安全衛生情報、多くのメディアでの化学情報のコミュニケーションに大きな恩恵をもたらしました。
1966 CAS管理・テクニカルチームは、CAの印刷版を作成するだけでなく索引付けの効率を向上できる自動処理システムを構築し、さらに新しい種類のサービスを生み出せるコンピュータでの読み取りが可能なデータベースも送りだし出しました。 CASは新しい写真植字技術の早期導入者であり、印刷、マイクロフォーム、磁気テープでのサービスの提供を開始しました。
1980 CAS ONLINEが開始され、ユーザー(主に情報専門家)によるCAS Registryデータベースの検索が可能になりました。 インテリジェントグラフィックス端末の特定モデルを持つユーザーは、メニューから構造特徴を選択して、グラフィックスタブレットとタッチペンを使用しながら端末のモニター上で組み立てる事ができます。 これらの端末では、巧みに描画された構造ダイアグラムと共に回答を表示する事ができます。
1983 インターナショナル・オンライン・ネットワークを形成する為、ACSとFIZ Karlsruheが協力しました。 翌年には、科学・技術情報ネットワークであるSTN®が開始されました。 ネットワークは、分散処理を通してデータベースへのグローバルなアクセスを可能にしました。 始めはCASデータベースと物理学の概要のみがアクセス可能でした。 その後STNは、多くの情報供給者からのデータベースを含むまでに成長しました。
1988 STN Express®ソフトウェアはデスクトップ上でのアシスト付きの検索機能を提供し、瞬く間にSTNユーザーが好むインターフェイスとなりました。
1995 CASはSciFinder®研究ツールを導入し、科学者がコマンド言語を学ぶ必要なくCASデータベースに直接アクセスできるようにしました。 SciFinderは、直感的でグラフィックなインターフェイスで世界の科学文献、特許、物質情報の探索を簡素化し、検索活動を科学研究の「一環」にしました。
1997年 CASは、出典文献へのアクセスを簡単で迅速化できるインターネットの可能性を認識しました。 全文雑誌記事とオンライン検索で識別された特許へのリンクを提供する為に、1997年にCASとSTN電子サービスにChemPort®が導入されました。
2005年 CASは科学情報をよりアクセスしやすく役立つものにすべく、電子サービスの開発を続けました。 様々な視点から検索結果の可視化と分析を可能にするため、CASとFIZ KarlsruheはSTN®AnaVist™ を導入しました。
2007年 CASの100周年を祝うと同時にACS国立歴史的化学ランドマークとして米国化学会により評価されました。
2008年 SciFinderのウェブ版がリリースされた事で、世界のどこにいてもCASデータベースへの迅速なアクセスと強化された検索能力をユーザーに提供できるようになりました。
2009年 CASレジストリデータベースに5000万件目の物質が登録され、CASだけでなく科学コミュニティ全体にとって、重要なマイルストーンになりました。 CAS科学者によってRegistryに集約され記録された科学的知識は、世界中の化学者と研究者による発見の継続を可能にしました。
2010年 米国特許事務局は、CASのSTNに対する5年間の単独供給契約を供与し、その懇請書にこう記載しています「CASのSTNデータベースは、他の商業的ウェブ基盤データベースに比ベて、最大のコレクションと化学及び関連情報の豊かさを兼ね備えています。 さらにCASはSTN Expressソフトウェアを使用し、独自の化学構造検索能力を有する唯一の会社です。 USPTOの要求事項を満たせる情報源は他にありません。」
2011年 中華人民共和国の国家知識産権局に提出された特許出願により、CAS REGISTRYに6000万件目の物質が記録されました。 2009年、中国が化学特許出願の最多出願国として他のあらゆる国を上回ったとCASは報告しています。 CASレジストリが5000万件目を記録してから2年足らずで達成したこの大きなマイルストーンは、世界中で化学と科学のアウトプットの加速化が続いていることを示しています。
2012年 CASとFIZ Karlsruheは、定額顧客の為のベータにおける新たなSTNプラットフォームのバージョン・ワンを公表しました。 特許専門家™が選ぶSTNの次世代を作る複数年にわたるイニシャティブの最初の大きなマイルストーンになりました。 CASは、韓国の治療特許を7000万件目の物質として登録しました。 特許は化学情報の重要な情報源であり続けています。  
2013 CASは、CAS REGISTRYに化学カタログから7500万件目の物質を登録しました。 SciFinderコンテンツと機能は、より効率的な設計、新しい非JavaのCAS構造エディター、APIインテグレーション、そしてSpringerやThieme Publishing Group、PerkinElmer等との共同によって改良されました。 新しいSTNプラットフォームは、STNのコアコンテンツ、グローバル特許コンテンツ、新しい機能性を含んだバージョンを2つリリースしました。 2013年版の中国の現有化学物質名録が、化学物質の国際規制情報を含むCASデータベースであるCHEMLIST®に追加されました。
2014 CASとPerkinElmerは、化学者が好む描画ツールであるChemDraw®ソフトウェアとSciFinderを組み合わせた共有研究ソリューションをリリースしました。STNにGlobal Value Pricingが導入されました。 CASはCASREACT®の論文からの反応の範囲を拡大しました。
2015 特殊な化学物質の世界最大データベースを祝う50周年に、CASはCAS REGISTRYに1億件目の化学物質を登録しました。 CASはこの年に新しい3つのソリューションをリリースしました。SciFinderと古典的なSTNで利用可能な特許ワークフローソリューションであるPatentPak®、規制ソリューションであるNCI™Global、そしてCHEMCATS®Chemical Supplier Programです。 CASはグローバル研究とビジネス開発への努力を継続しており、世界中で熱心なセールス担当者とサポート担当者を増やしています。  
2016 CASはこの年、MethodsNow®、ChemZent™ そして CAS SciFindern の3つの新しいソリューションをリリースしました。 CASは、2017年秋に開始予定の有機化学を専攻する大学生向けの新しい学習ソリューションであるChemistry Class Advantage™に無料のベータ版を提供しました。 授業で使われるテーマ別に編成されたChemistry Class Advantageは、SciFinderの機能と雑誌論文に掲載された研究を活用して、有機化学専攻の学生が研究文献を吟味することを通じて化学を学べるようにしています。