生物製剤の研究開発で強力な知的財産調査を行うためのコツ

研究開発における知的財産の価値を特定し、より強固な特許プログラムを構築するための調査ガイダンスをご確認ください。

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より強力な生物製剤関連の知的財産調査で一歩先へ

生物製剤のR&Dにおいて、知的財産(IP)を保護し、強力な特許プログラムを構築するには、効果的な調査が不可欠です。しかし、配列データ、化学修飾、新規製剤など、生物製剤のイノベーションおよび知的財産の複雑な性質により、包括的な調査を行うことは容易ではありません。CASは、生物製剤の知的財産を保護するための重要なヒントをまとめました。これにより、イノベーションを守り、規制の枠組みに対応し、潜在的な訴訟リスクを軽減することができます。

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折れ線グラフは1990年から2024年までに公開されたパテントファミリーの数を示しています。グラフは、ワクチン、遺伝子/細胞治療、融合タンパク質関連特許の着実な成長を示しており、抗体と免疫グロブリンについては指数関数的な成長を示しています。

しかし、増大するデータ量は、ただでさえ困難なタスクをさらに複雑にしています。信頼性の高い配列検索は、R&Dにおけるイノベーションのビジネス価値を特定し、それらを保護する特許プログラムを構築する上で不可欠ですが、配列に関する情報の検索と取得は非常に難しいものです。

製薬企業は、効率的な情報アクセスを妨げる以下のような障害に直面することがあります。

  • 配列データベースの記録に、化学修飾に関する重要な情報が欠けている
  • 特許において、配列が様々な方法で出願されている
  • 時代によって科学文献や特許文献における配列の記述が一貫していない
  • 抗体、薬物ペイロード、リンカーからなる抗体薬物複合体のように、複雑な発明の一構成要素として配列が存在している

これらの不整合は不完全または不正確な検索結果を生み出し、強力な特許請求項の取得を妨げる可能性があります。

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R&D、知的財産、調査部門間の連携を促進する

生物製剤の知的財産の複雑さに対応するには、R&D、知的財産チーム、外部の弁理士、調査専門家の間のシームレスな連携が必要です。チーム全体で期待、目標、責任の所在を一致させることで、エラーを減らし、包括的な検索結果を確実にすることができます。検索は動的なプロセスとして扱われるべきです。R&Dの進行に伴って新たなデータが出現するたびに結果の見直しと改良が必要であり、各チームメンバーが科学データや特許データを能動的に検証し、見落としのリスクを最小限に抑えることが重要です。

戦略的な検索の目標を定義する

検索を計画する際は、「何を検索したいか」だけでなく、「最終的なゴール」にも焦点を当ててください。「公開された特許請求の範囲において、何が懸念事項となるか?」という問いを持ってプロセスに取り組みましょう。配列検索は本質的に複雑であり、従来の検索を超えるアプローチが求められます。

  • 基本的なBLAST検索やモチーフ検索だけでは不十分なことがあり、多くの場合、配列、化学修飾、キーワード、化学構造をカバーしているクエリーを作成する必要があります。
  • 熟練した調査員は、さまざまなデータベースやプラットフォームを活用し、大量の配列を効率的に処理するためのカスタマイズされた戦略を作成します。
  • 検索は、結果を確認しながら進化する反復的なプロセスです。たとえば、当初は「5つの繰り返し単位を持つリンカー」を求めていたとしても、周辺の特許リスクを明らかにするために、繰り返し単位がより少ないリンカーの評価へとシフトすることもあります。

このような柔軟な考え方を用いれば、潜在的な抵触範囲を広く捉えられるだけでなく、情報に基づいた意思決定に役立つ生物製剤の知的財産に関する包括的なインサイトを得ることができます。

高度の分析ツールを活用する

従来の検索結果分析手法は、手作業への依存度が高く、多大な時間を要し、ヒューマンエラーが発生しやすいものであり、調査員が何日もかけて引用文献を精査し、レポートを作成する必要がありました。データ分析プラットフォームや、変異解析などの分析手法を使用することで、検索結果の解釈が可能になり、分析作業が大幅に合理化されます。また、フィルタリングやレビューが容易で、理解しやすい形式のレポートにデータをまとめることができます。

R&D全体を通してFTO(侵害予防)調査を実施する

特許プログラムを「タマネギ」のようなものだと考えてみてください。中心には核となる組成物の特許があり、その周りをR&D中に生まれたイノベーションに関する「保護的な特許出願」が層のようになって取り囲んでいます。R&Dの初期段階から継続的に知的財産インサイトを考慮することは、研究の指針となり、強力な権利請求をサポートし、各段階で新たな保護の層を提供することにつながります。

  • リード化合物の開発
  • リード候補の周辺で幅広い可変性を持ってFTO調査を実施し、潜在的な特許侵害の脅威を特定します。
  • 概念実証
  • FTO調査を用いて核となるイノベーションの侵害回避の確認を行い、特許性を確立します。これは特に、投資家を惹きつけるために「先願(first-to-file)」の地位が重要となる場合に不可欠です。
  • フェーズII試験後
  • 追加のFTO調査を実施して、新規用途、製剤、プロセス、およびその他のイノベーションについて侵害回避を確実にします。

特許の状況を継続的にモニタリングする

新規の特許出願は18か月間公開されないため、潜在的な脅威の一歩先を行くには、継続的なモニタリングが不可欠です。モニタリングプログラムでは、以下の点についてアラートを受け取れるようにすべきです。

  • 進行中のR&Dに影響を与える可能性のある、新規公開された特許出願
  • 貴組織で行われている研究に関連する科学論文
  • 特許の法的状況や審査状況の変化

このプロアクティブなアプローチにより、チームは常に最新情報を入手し、R&Dプロセス全体を通じて新たなリスクに適応する準備を整えることができます。

CASの生物製剤関連知的財産のエキスパートと連携する

その特有の複雑さにより、生物製剤関連の知的財産調査では洗練されたアプローチが必要となります。戦略的な検索手法を採用し、専門的なツールを活用し、高度な分析を取り入れることで、組織はイノベーション保護のためのより強固な基盤を築くことができます。CAS知的財産サービスは、主要な生物製剤イノベーターと連携し、特許モニタリングと知的財産管理へのアプローチの合理化を支援しています。当社のチームと協力することで、生物製剤の知的財産に関するCASの専門知識を活用し、より強力な特許プログラムを構築して、将来のイノベーションを確実に守ることができます。

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