科学の進歩は、先人の業績の上に新たな知見を積み重ねていくリレーのようなものです。長年にわたり、数多くの発見や技術が私たちの理解を深める大きな原動力となってきました。その功績の一部は、毎年発表されるノーベル化学賞、物理学賞、医学・生理学賞によって称えられています。すべての重要な革新やアイデアを網羅することは不可能ですが、CASのサイエンスチームは、科学界や社会全体に多大な恩恵をもたらす可能性を秘めた発見をいくつか特定しました。その中から、次なるノーベル賞受賞者が生まれるかもしれません。
医薬品の多くは、本来の優れた効果を発揮する前に、溶解性の低さ、高い毒性、あるいは安定性の問題によってその利点を十分に活かせないことが少なくありません。しかし、デンドリマーを薬物送達システム(DDS)の媒体として利用することで、こうした課題の多くを解決できる可能性があります。
デンドリマーは、中心核から枝分かれを繰り返す構造を持つ高分子です。そのサイズ調整の容易さ、細胞膜との相互作用、そして内部構造の安定性は、医薬品の送達に理想的です。デンドリマーの合成には課題が多くコストもかかりますが、その多様な応用の可能性が、この分野の研究を前進させています。
ディディエ・アストリュック博士は、デンドリマーの体系的な合成法を確立し、金ナノ粒子などの遷移金属ナノ粒子を用いた機能化を実現しました。この研究はデンドリマー合成の障壁を取り除き、触媒使用量を抑えつつ高い効率を実現する、持続可能なデンドリマー触媒化学を切り拓きました。この成果により、金属ナノ粒子を内包したデンドリマーを用いた持続可能な触媒反応が可能となり、エネルギー消費の抑制と次世代に向けた持続可能性の向上が期待されます。
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写真提供:© Nobel Prize Outreach. Photo: Nanaka Adachi NobelPrize.org. Nobel Prize Outreach AB 2023. 2023年9月13日(水)




