CAS、COVID-19診断テストの研究に焦点を当てた特別報告書をリリース

2020年5月4日 オハイオ州コロンバス - 科学情報ソリューションを専門とする米国化学会の一部門であるCASは、ACS Central Scienceで特別報告書「Assay Techniques and Test Development for COVID-19 Diagnosis」(COVID-19 診断の検定手法とテストの開発)という特別報告書を公開しました。世界中の科学的出版物から集めた本報告書は、COVID-19診断テストの詳しい概要、トレンド、リソースについてまとめています。 

世界保健機関によるとCOVID-19の流行により、確定症例数は280万、死亡者数は19万3000人以上に達しています。ソーシャルディスタンスの実施によりウイルスの拡散は鈍化しました。COVID-19の更なる封じ込めには、迅速で利便性が高く、正確な診断テストの開発がどうしても必要な点で、専門家の意見は一致しています。より多くの人々に大規模な検査を実施することで、感染の早期に患者を特定して隔離できます。無症候性の人が無自覚に疾患を拡散してしまうことも防げます。 

利用可能な無数の診断テストの理解を助けるため、シンシア・ルー博士が率いるCASの科学者グループは、COVID-19ウイルスSARS-CoV-2の検出に使用される分子検定と血清学的検定の基本原則をまとめました。この報告書では最近のテスト技術の進歩に焦点を当て、200種類以上の現在利用可能な診断テストを概観していす。

CASの主任科学責任者であるギリース・ジョージスは言っています。「CASの科学者はCOVID-19の治療と感染抑制に向けた人々の命を救うための革新的取り組みを支援するため、全力で弊社のデータと専門知識をシェアしています。本報告書は、すでに公開されている科学的データ間の関連性を研究者に伝えることで、より正確で大量に検査できる診断テストの開発と導入を早めるための助言を与えることができるでしょう。」

現在のCOVID-19診断テストは主に2つのカテゴリに分類されます。COVID-19 を引き起こすSARS-CoV-2ウイルスの遺伝物質(RNA)を検出するテストと、ウイルスに感染したことがある人の血液内の抗体を検出するテストです。

前者のテストで最も一般的なものは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)に依存しています。現在のところはCOVID-19診断の標準テストとみなされていますが、RT-PCRには高価な機材と、高度な技術を持った検査スタッフが必要で、結果は判明するまで数日を要します。従って、研究者はより迅速で低コストのテスト方法を探しています。

後者の抗体テストは早期診断には用いられません。抗体は感染から数日~数週間経過しないと血中に現れないからです。しかし、疑い例の確認、個人の病状進行の観察、潜在的な免疫保有者の特定には用いることができます。 

この2種類のテストの大規模に実施することで、通常レベルの生活に戻る手助けになる可能性があります。しかし、各テストの相対的な特異性と感度に関する数多くの疑問には、今も回答が待たれます。

CASについて

科学情報ソリューションを専門とする米国化学会の一部門であるCASは、世界のR&D組織のパートナーとしてイノベーションを計画し、確信し、保護する為に役立つ実行可能な洞察を提供し、新しい市場と機会の進化の予測を助けます。科学者、特許専門家、ビジネスリーダーが発見と戦略を支援するためにCASのソリューションとサービスに依存しています。110年以上の経験を通して、CAS以上に科学情報を熟知している機関はないでしょう。詳しくは www.cas.org/ja をご覧ください。 


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