貴社の知的財産戦略はどれほどレジリエンスを備えていますか。 高まり続ける知的財産(IP)資産の商業的重要性と、現代の研究開発を取り巻く不安定な状勢について考えると、知的財産戦略のレジリエンスは、多くの企業にとって無視できない重大な問題です。
IP資産の量の増加と価値向上が同時進行することで、企業は将来も安心して利用できる知的財産戦略(専門知識、プロセス、データなど)を早急に策定する必要性に迫られています。 知的財産を含む無形資産は、現時点でS&P 500企業の資産価値のおよそ84%を占めていますが、世界的な専門サービス企業であるAONの調査によると、これは20兆ドルに相当します。 また、驚くべきことではありませんが、全世界の特許申請件数は2009年から毎年急激な増加を続け、2018年には合計330万件に達しています。 科学文献の量も同じように増加しており、毎年約300万件の論文が出版されています。
持続可能な技術革新とリスクの軽減には、しっかりとした専門的知識、効果的なプロセス、正確なデータに基づいた知的財産管理に対する包括的なアプローチが求められます。 このブログ記事では、弊社の最近のホワイトペーパーで説明したように、知的財産の管理の各側面でよくみられるギャップを埋めることで、将来的にも有効性を失わない知的財産戦略を構築する最善の方法についていくつか説明していきます。
専門的知識の移転により組織における知識のギャップを埋める
経験豊富な組織内の人員や信頼できる専門家が長年をかけて慎重に構築してきた組織の知的財産戦略は、その企業に独特の、競争上の優位性を与えているものです。 しかし、多くの理由から、知的財産の専門知識はごく少数の経験豊富な専門家のみが共有してきました。より規模の大きい企業の成功において知的財産の重要が高まってきた現在でも、これは変わりません。
現在、とりわけ多くの企業で予算が逼迫し、人員が縮小されている現状では、知的財産関連の担当者がこなすべき役割は大幅に増加しています。 当然、新たな専門知識を増やし、負担すべき業務の量に対応し、組織としての敏捷性を高めるために、企業は自社の知的財産リソースの管理方法を見直しています。 ここで問題になるのは、高度な法律および技術の専門知識を蓄積するには何十年もの経験が必要であることです。IP Global Exchangeの調査では、ある知的財産担当役員が知的財産需要の伸びとリソースの緊縮のバランスをとることが最大の課題となっていると述べています。
知的財産の価値向上と、組織につきものの人材の流動性を考えると、担当者の異動や経験豊富な検索担当者が退社または引退した時に、大切な情報が失われないよう、しっかりとした知識の移転および引継ぎ計画を立てることは、企業にとってますます重要になってきています。
上記のリスクに対処するため、多くの企業は社内の知的財産の検索および分析の業務を、外部委託のサービスで強化しています。 知的財産と技術分野において幅広い経験を備えたサービスプロバイダーは、より迅速かつ正確で、カスタマイズ可能な検索と解析サービスを企業に適正な価格で提供しています。これにより、企業が自社の知的財産を新たな分野へと拡張し、自社のイノベーション戦略の破綻を最小限に抑えるために必要な俊敏性を提供しています。
プロセスのギャップに対応して知的財産パイプラインを強化
知的財産は、イノベーションの向上、競合他社の脅威への対処、市場におけるリスク回避など、企業の戦略的な意思決定を支えます。 知的財産は、かつてないほど広範囲に渡る利害関係者に対して、業務にかかわる見識を与えています。 この変化が進んだ一因には、投資の是非の決定に必要な情報を得るために、研究開発のライフサイクル全体において知的財産の分析が幅広く行われるようになったという最近のトレンドがあります。 それが新薬の標的の早期特定であれ、生物活性の正確な予測であれ、あるいは従来より安全でより関連性のある臨床試験の設計であれ、研究開発を加速化させ、無駄な投資を最小化し、そして有望なアイデアが無駄にならないようにするためには、知的財産解析は重要な役割を果たします。
全社規模の知的財産に対する取り組みから恩恵を得るため、企業は資産の利用に向けて各種の役割、手順、標準を整合化する必要があります。 プロセスの文書化とテクノロジーの活用は、人員と業務の変化に合わせて組織全体の知識を捕捉し、維持していく上で欠かせません。
研究開発に必要な情報と見識を得るために必要なツールのアクセスを高めることで、誰もがイノベーションの全過程において同じ高品質の知的財産情報を利用できるようになります。 すると、企業は組織の強みを最大限に伸ばし、より的確な意思決定をして、最も可能性の高いアイデアに投資を行うことが可能になります。
さらに、競争力のある分析力の強化、潜在的な買収と合併に向けた分析、社内ライセンス戦略の有効性判断といった目的でも、企業はIP資産の監査と適用に投資を進めています。 重要なデータが一つ欠けるだけで、重大な機会逸失を生じる可能性があります。 そこで企業は、広範囲にわたるビジネスと知的財産の専門知識を持つCASのような経験豊富なサービスプロバイダーに委託するようになってきました。CASなら、人間がキュレートしたデータの検索とアナリティクスを提供することで、市場全体を俯瞰しそしてあらゆる潜在的なチャンスと脅威を把握できるようになります。
既存のIP資産の価値を最大化する
商業的なIP資産の価値と量が増大している昨今では、その管理が多くの組織の最優先事項となってきています。 自信を持った価値評価、迅速なイノベーション、知的財産の保護を支援できるような、自社所有の知的財産ポートフォリオに関する十分な情報がないと、知的財産に関する利害関係者の約40%が感じています。
自社の知的財産ポートフォリオの価値を最大化する最初の手順は、IP資産の最新インベントリを把握することです。 データベースは、業務目標に合わせて整合化および統合する必要があり、あらゆる利害関係者が容易に検索できるようにする必要があります。 ここで、戦略的に共通語彙でインデックス化したデータベースを構築することで、ユーザーの効率を高め、効果的にデータを参照そして取得できるだけでなく、定期的な変更追跡も行えます。
自社の知的財産ポートフォリオを的確に把握できたら、積極的に社外の知的財産の状勢を監視することで、その価値を維持することが重要です。 大部分の研究開発組織は競合他社の特許に遅れないように努力していますが、多くの企業には潜在的な知的財産侵害を継続的に監視する戦略がありません。このため、市場に新規参入した会社や関連性の薄い企業のイノベーションによるリスクに曝されることがあります。 最新コンテンツへのアクセスを提供する技術とサービスは、適宜でコスト効率の高い知的財産の検索と解析および侵害の警戒を支援することができるため、企業は自社資産の価値を最大化することが可能になります。
知的財産資産の最適化には新たな戦略が必要
イノベーションとは本質的にダイナミックなプロセスなので、事業目標を達成するには、スキル、知識、リソースを確保するための知的財産に対する敏捷な行動が不可欠です。 そこで、持続可能な知的財産管理戦略の構築が必須となります。
広範囲に渡る知的財産データへのアクセスを提供し、しっかりとした知識の移転・引継ぎ戦略を確立し、多様性に富み敏捷な人材プールを確保することにより、組織の流動性に関連したリスクを軽減し、変容するビジネスの要求に対応できるようになります。 また、信頼できる知的財産のエキスパートと提携し、効果的な検索ツールで社内のチームに力を与えれば、研究開発、競争力のある戦略、ライセンス供与の機会などに関連してより大きな見識と的確な意思決定に結び付きます。
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